『名作に会いたい!』 広学名作委員会

『詭弁論理学』『逆説論理学』野崎 昭弘

野崎昭弘 1936年,横浜市生まれ.東京大学理学部数学科卒業,理学博士.専門はコンピュータ科学の基礎理論.電電公社(現NTT)に勤務後,東京大学,山梨大学,国際基督教大学を経て,大妻女子大学社会情報学部教授.高校数学の教科書の編集・執筆にも20年携わり,その縁で数学教育協議会に参加,現在は委員長.わかりやすい文章には定評があり,著書に,ベストセラーとなった『詭弁論理学』『逆接論理学』(中公新書)をはじめ,『不完全性定理〜数学的体系のあゆみ〜』(筑摩書房),『πの話』(岩波書店),『赤いぼうし』(童話屋)など多数執筆.また,訳書に、『THE PARADOX BOX』(マーティン・ガードナー著,日経サイエンス別冊),『ゲーデル,エッシャー,バッハ』(D.ホフスタッター著,共訳,白揚社)ほか.(本文は『不完全性定理〜数学的体系のあゆみ〜』(筑摩書房)より一部引用させていただきました.)



本書は私が大学受験生時代に, 現在医者である親友に「難関大学を目指すぐらいなら,これは読めないとな…」と紹介された本です.

数学には論理は非常に大切であり,“数学は論理を武器にする学問”とはよく言われます。大学受験一つとってみても,「数学を決める論証力」(東京出版)という参考書も出ているぐらい大切です。しかし,多くの高校生が「え?必要条件?」「十分条件って何?」「同値ってなんのこと?」と戸惑ってしまうぐらい,実は論理(の基本)が身についていないのも事実です.

さて,みなさんは『論理』と聞くとどのように感じますか?「何か難しそう…」と感じるでしょうか?それとも「何かカッコよさそう!」と思うでしょうか?

“論理を武器にする学問”であるならば,では数学者は本当に議論に強いのでしょうか?実は必ずしもそうでもありません. 意味が分からず納得させられてしまい, 後で「ああ言えば良かった」などと後悔することもあるようで, 著者の野崎先生は「議論には弱い」とご自身を認識された上で本書を書かれたそうです.

本書では,本来重大な論理の問題を,様々な側面からパズルのように,あるいは言葉遊びのように痛快に紹介し,けれども中学や高校で学ぶような数学らしさは全然感じられず,文庫本という小さな1冊でありながら,気がつくと数学の論理性を身につけさせてくれる…そんな1冊だと思います。「マイナス×マイナスはなぜプラスか」等の面白い話題も紹介してくれています.

さて,兄弟本である『逆説論理学』もまた面白い本で,「逆説」といわれる論理についての本です。本来ありえない結論(したがって,論理的にはどこかに欠陥がある)を『逆説(パラドックス)』と呼びます。有名な《ゼノンの逆説》からはじまり,「世の中の碁石は(白・黒合わせていくつあるか不明だが)実は1色しかない」という有名(?)な《碁石の定理》,不思議の国のアリスの著者ルイス・キャロルが作った《ルイス・キャロルの逆説》など「パラドックス」について様々な話題を提供してくれています.

たとえば,

 この枠の中に書いてあることは嘘である 

は,有名な自己矛盾!こんな例も見せてくれます.

高校生でも,大学生になっても,あるいは大人でも楽しめる痛快論理活劇であるこの2冊,数学に心を奪われた中里にとって,心からのお薦め本(まさに名作!)です.



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(数学科 中里)





詭弁論理学 (中公新書 (448))詭弁論理学 (中公新書 (448))
(1976/01)
野崎 昭弘



逆説論理学 (中公新書 (593))逆説論理学 (中公新書 (593))
(1980/01)
野崎 昭弘


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