『ソフィーの世界』ヨースタイン・ゴルデル |
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2008-05-27 Tue 18:46
ヨースタイン・ゴルデル(Jostein Gaarder) ソフィーはごく普通の14歳の少女。 ある日、ソフィーのもとへ一通の手紙が舞い込んだ。 消印も差出人の名もないその手紙にはたった一行。 『あなたはだれ?』と書かれていた。 思いがけない問いかけにソフィーは改めて自分を見つめなおす。 「わたしっていったいだれなんだろう?」 今まで当たり前だと思っていたことが、ソフィーにはとても不思議なことのように思えてきた。 その日からソフィーの周りで奇妙な出来事が次々と起こり始めた・・・・・。(本書見開きより) この本は私が高校生の頃に読み始め、面白さから大学時代、そして大人になった今でも読み返すほどに惹きつけられた本です。 ジャンルとしては「哲学」の本になろうかと思います。 「哲学」と聞いてしまうと、「難しい」「堅苦しい」といったイメージが浮びがちです。 昔から哲学者の数だけ哲学はあると言われてきました。 では哲学っていったい何でしょうか?・・・・・・・ 一言で答えは出ません。前文を踏襲すれば哲学者の数だけ哲学があるわけですからね。ただ古今東西の哲学者の態度に共通して見られる点について『ソフィーの世界』ではこのように語られています。 今から二千年以上も前のギリシアの哲学者は、人間が「なんかへんだなぁ」と思ったのが哲学の始まりだ、と考えました。 人が生きているというのはなんておかしなことだろう、と思ったことから、哲学の問いが生まれた、というのです。 『ソフィーの世界 上巻 P,25』 いい哲学者になるためにたった一つ必要なのは、驚くという才能だ・・・・。 『ソフィーの世界』上巻P,27 哲学の出発点は、要するに「驚くこと」なんですね。 あらゆることに対して新鮮で批判的な目を常にもつこと、常識や科学や宗教が当たり前だと思っていること、暗黙のうちに前提にしていること、信じきってしまっていることを不思議に思ってみるという態度です。 ・・・・・・これって考えてみると不思議だな、と思うとき、もうあなたは「哲学」を始めています。 ところで私たちのだれもが少しも疑わないことって何でしょうか? それは「自分」と「世界」が存在するということです。 あまりにも当たり前すぎて、誰もそんなことを疑いませんが、本当は、自分がなぜ存在するのか、なぜ自分はこの自分なのか、世界が何であるのか、はすごく不思議なことなんですよ。 この世界と自分の存在の神秘を不思議に思うこと、これこそが「哲学」のはじまりなのだとこの本は教えてくれています。 本書はこういった古今東西の「哲学者」たちの考えに、ストーリー性を盛り込んだ内容で触れることが出来る作品です。 例えば「イデア説(論)」で有名な古代ギリシアの哲学者プラトン。 名前ぐらいは聞いたことがあるかもしれません。 『ソフィーの世界』では哲学者プラトンは主人公ソフィーにいくつか課題を出します。 1、ケーキ屋はなぜ五十個もの同じクッキーを焼けるのか? 2、なぜ馬はみんなそっくりなのか? 『ソフィーの世界』上巻 P,106 なんとも不思議な質問ですね。でも皆さん考えたことあるでしょうか? 同じ形のクッキーが出来るのは、つくる人が同じ「一つの型」で抜いたからです。目の前に出来上がっているクッキーは実はその型で抜かれたコピーなのですね。しかし誰もそのコピーを疑いもなく食べている日常があります。しかし本当の真実は「型」にこそあるとプラトンは考えたのです。なんとも分かりやすい例と解説です。「原型」に合わせて同じ形の多数のクッキーが作られる。プラトンはこうした考え方を自然界にも拡大しました。自然の五十頭の馬にも「原型」があるのでは?・・・ プラトンは、どうして自然界の現象はこんなに似ているのだろう、とびっくりして、わたしたちの身の回りにあるものの上か後ろには、かぎられた数の「型」があるはずだ、という結論にたっした。この「型」をプラトンは「イデア」と名づけた。・・・・あらゆる馬や豚や人間の背後には、馬のイデアや豚のイデアや人間のイデアがあるのだ。(中略) さて結論だ。プラトンは感覚世界(我々が普段目にしているもの)の後ろには本当の世界がある、と考えた。これをプラトンは「イデア界」と名づけた。ここに永遠で不変のひな型、わたしたちが自然の中で出会う様々な現象の原型がある。この、あっと驚く考え方が、プラトンの「イデア説」だ。 『ソフィーの世界』上巻P, 115〜116 『イデア論』。始めてこの言葉を聞いたとき、高校生だった自分にはどのような考えか正直、当時は理解できませんでした。しかしこの作品に出会って、なんとなくではあるけれどもイメージをつかむことが出来た、そんな記憶があります。(もっと詳しい説明は是非この本を読んでみてくださいね。) あくまでもプラトンの例はひとつの紹介にすぎません。 本書ではたくさんの哲学者に出会えます。そしてその度ごとに、この時代の人はこう考えていた、この考え方は前に出てきたあの人の考え方に似ている、など新しい発見を知ることが出来るのです。 昔の人の考え方、時代観、はたまたその歴史を知ることが現在のわれわれ、そして未来を造ることを改めて感じさせられる作品です。現状に満足せずに常に次のことを思考せよと、大人になった今でも啓発させられる作品です。 自分も多角的な視野をもち、あっと驚くことの出来る「哲学者」で常にありたい・・・・・ 最後にこの言葉でこの本の紹介を終わらせていただきます 三千年を解くすべを持たない者は闇の中、未熟なままに、その日その日を生きる。 ゲーテ 是非、本校の図書館で手にとって開くところから始めて下さい。中学生にも比較的読みやすい本です。 ![]() (社会科 古屋 剛)
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