2008-11-06 13:18 | カテゴリ:学園
塩野 七生(しおの ななみ、1937年7月7日生まれ)は、東京都出身の作家、小説家。女性。「七生」の名は、7月7日の「生まれ」であることに由来する。1963年からイタリアへ遊学し、1968年に帰国すると執筆を開始。雑誌『中央公論』掲載の『ルネサンスの女たち』で作家デビューを果たす。イタリア永住権を得ており、現在もイタリアの首都・ローマに在住。舞台をイタリア中心に限定し、古代から近世に至る歴史小説を多数執筆し続ける。ユリウス・カエサルの熱烈な崇拝者で政治家としての理想像はカエサルであると公言している。1992年から古代ローマを描く『ローマ人の物語』を年一冊のペースで執筆し、2006年第15巻『ローマ世界の終焉』にて完結した。2008年新春歴史ミステリー「古代ローマ1000年史!」は、このシリーズを忠実に映像化したドキュメンタリーである。

『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年 上・下』 (1980年 中央公論社)
『コンスタンティノープルの陥落』 (1983年 新潮社)
『ロードス島攻防記』(1985年 新潮社)
『レパントの海戦』(1987年 新潮社)
『ローマ人の物語1~15』(1992年から2006年 新潮社)


古代ギリシア人が前8世紀に建設した植民市ビザンティウム。ローマ帝国末期330年にコンスタンティヌス帝がこの地に遷都、コンスタンティノープルと改名した。以来1100年以上に渡り、東ローマ帝国(ビザンツ帝国)の首都として、1453年のコンスタンティノープル陥落までキリスト教徒の都であった。

アジア側とヨーロッパ側、2大陸に跨っているこの大都市の現在名はイスタンブル(トルコ共和国)。世界屈指の観光都市である。

私がこの都市を訪ねたのは今からちょうど10年前の1998年。旅行のきっかけは沢木耕太郎著『深夜特急』、そして行きの飛行機の中で読んだのが塩野さんの『コンスタンティノープルの陥落』だった。

一気に読んだ。

コンスタンティノープル陥落の現場に居合わせた人々の手記をもとにして書かれているこの作品を読むと、色々な立場からの見方がわかり面白い。ローマ帝国が幕を降ろすときの様子を、まるで眼の前で行われているかのように感じさせてくれる。

もちろんこの本のおかげで旅行は大変有意義なものになった。以来、塩野さんの作品に夢中になった。

厚い城壁の話が熱い『ロードス島攻防記』、足並みのそろわぬキリスト教連合艦隊がトルコに勝利する興奮のサクセスストーリー『レパントの海戦』、これら戦記物三部作読後も塩野さんの地中海歴史小説への欲求はとまらなかった。

『海の都の物語 上・下、ヴェネツィア共和国の一千年』は、上巻520頁、下巻570頁。さすがに読み切るのに相当な努力を要した。読めばヴェネツィアに行きたくなるし、塩野さんが心から好きな町だということが伝わってくる。

塩野さんは実に多くの文献を読み、現地調査を重ねている。道路の幅や壁の高さまで自分で測るほどの熱意だ。それが緊張感ある現地報告のように語られ、登場する人間が生き生きと描かれる所以だ。集めた歴史的事実を並べ、その空白部分を思い切って創作する。

「事実は再現できなくとも、事実であってもおかしくない事は再現できる。」彼女の言葉の通り、我々は再現された歴史の世界を楽しむことが出来る。

『ローマ人の物語13最後の努力』を読み終えた2006年夏、抑えきれない衝動と家族の多大なる理解により、一人イタリアを旅することになった。

ソウルを乗り継ぐ格安航空券に夜行列車、リュック1つで安宿を梯子する体力的にも厳しい旅だったが、塩野さんの多くの作品を通じて蓄積された知識が旅を充実させた。

人との出会いのみならず、長い歴史との出会い、そこには言い尽くせないほどの感動があった。


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<社会科 藤井宏幸>



ローマ人の物語 30 (30) (新潮文庫 し 12-80)<>ローマ人の物語

塩野 七生