「父と子」ツルゲーネフ |
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2008-02-03 Sun 23:58
ツルゲーネフ(作家) 1818年11月9日-1883年9月3日。ロシア中部オリョールの地主貴族の家庭の次男として生まれる。19世紀のロシアの代表的な小説家の一人であり、ここで取り上げた『父と子』も19世紀ロシアの最高傑作の一つとされる。日本では二葉亭四迷によってその作品が紹介され、国木田独歩や田山花袋らの自然主義に大きな影響を与えている。
まったくの勘違いであった。 姉の読んでいた漫画版の「初恋」。 その「初恋」のタイトルを覚えておらず、作家名であるツルゲーネフだけが記憶にあった。ストーリーが、少年の恋した相手が実は父の…というものだったので、そこから推測して『父と子』に間違いないと考えたのだ。 さっそく新潮文庫版を読み始めて、「どうもこれは違うな」と思ったが、とにかく最後まで読み通した。 文学作品というものを読み通さねばという思いが、その時あった。 読み終わった瞬間、体の内側から湧き起こった充実感と幸福感。それまでの人生で初めて味わった知的な興奮。その時の内から湧き出した感動は今でも忘れられない。 思い出して恵比寿にある有隣堂の文庫本コーナーに行ってみた。 『父と子』はあった。 新潮文庫版が1冊だけ、ロシア作家のコーナーに鎮座していた。さらに、手にとって表紙を見て驚く。あの30数年前に手に取った表紙と、全く変わらない装丁。 記憶に残っていたのは読み終えた時の感覚だけ。人物名もストーリーも見事に覚えてなかった。 新時代の申し子である「ニヒリスト」のバザーロフを連れて、彼から影響を受けるアルカージイが帰郷するところから物語は始まる。久しぶりに会った息子たちに戸惑うアルカージイの父と伯父。その彼らもかつては新時代の人であった そして、アンナ・セルゲーエヴナとの出会いとバザーロフの失恋。そして、この作品を牽引し続けたバザーロフの悲劇的な…。 やはり、ラストは見事だと思う。 新時代を象徴する若い世代が、旧世代の戸惑いを横目で憐れみながら突き進む。その若い群像を時代の潮流が有無を言わせず飲み込んでいく。 その奔流を作家は静かに見つめている。 ツルゲ―ネフは、結果として、この作品で新しい時代を先導したのだそうだが、彼はこの作品を書くことで自分の時代的な使命を探ろうとしていたのではないか。 そう思えてくる。 しかし、最初の出会いから三十年以上経つにもかかわらず、こっちはどうかと言えば…、またもや見事に奔流に飲まれてしまったのである。 それもまた幸福な体験ではあった。 ![]() <社会科 金子さとる>
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